2020年01月16日

2019年マイベスト

2019年に読んだ本の中で特に印象に残った10作品+1です。
並びは読んだ順番であって,序列ではありません。
例年通りに2019年に刊行された作品は少ないです。

キム・ニューマン『モリアーティ秘録』

モリアーティ教授とモラン大佐から語られる〈シャーロック・ホームズ〉。
モラン大佐が意外に苦労人で楽しいのですが,やっぱり悪漢ですねえ。

加藤実秋〈メゾン・ド・ポリス〉

最新巻である第4巻まで一気に読んでしまいました。
加藤実秋らしい瀟洒で軽妙なミステリィ作品です。
1980年代分は割と控えめな気がします。

若竹七海『殺人鬼がもう一人』

若竹毒が満載の素敵な悪漢短篇小説です。
軽妙なんだけど,うすら寒さを感じさせる展開がたまりません。

高井忍『京都東山 美術館と夜のアート』

大好きな作家による大好きな歴史芸術ミステリィ連作短篇集。
作者による歴史ミステリィという分野に対する指摘に共感します。
勿論,物語としても存分に楽しい。

北原尚彦『ホームズ連盟の冒険』

正統派の〈シャーロック・ホームズ〉パスティーシュ。
正典に登場するいろいろな人物が探偵役を務めます。

京極夏彦〈今昔百鬼拾遺〉

3か月連続で,異なる出版社から刊行の〈妖怪〉シリーズ番外篇。
『鵼の碑』と同時期以降の物語と言うのは興味深いです。

ジェームズ・ロリンズ〈シグマフォース〉

歴史と科学の融合を標榜する冒険小説シリーズです。
とりあえず第一期に該当するであろう作品までは読了。
徐々に神秘主義的な傾向が見られるのは気になります。

雪富千晶紀『ブルシャーク』

まさに鮫映画を小説の形に落とし込んだ素晴らしい作品。
科学的な見地からの視点も大いに楽しかったです。

五代ゆう『グイン・サーガ(146)雲雀とイリス』

暫く積んでいた3冊を一気に読了した〈グイン・サーガ〉の最新巻。
アルド・ナリスの復活が中原に如何なる影響を及ぼすのか楽しみ。

田中芳樹『創竜伝(14)月への門』

刊行されたこと自体が既に衝撃的な〈創竜伝〉の最新巻。
次巻で完結と言うことですが,きちんと終ってくれるのかな。
“皆殺しの田中”の名が相応しい巻でもありました。

高田崇史『QED 憂曇華の時』

一度は完結したものの新たに刊行された〈QED〉本篇の最新巻。
穂高神社と宇佐神宮の意外な繋がりは作者の真骨頂でしょう。
このままシリーズ再開と言う形になるのでしょうか。
posted by 森山樹 at 19:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文

2020年01月15日

購入記録(2020.01.15)

椹野道流 禅定の弓 鬼籍通覧 講談社文庫 ¥814

毎月刊行される〈鬼籍通覧〉新装版の第5巻です。
再読は現在のところ第2作目まで。
早めに追い着きたいものであります。
新装版は第何作目まで刊行されるのかは不明ですけれども。

〈2020年書籍購入覚書〉 計2冊
posted by 森山樹 at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録

2020年01月13日

ジェフリー・ディーヴァー『扇動者(下)』

〈2020年読書感想3冊目〉
ジェフリー・ディーヴァー『扇動者(下)』


〈キャサリン・ダンス〉シリーズの第4作目『扇動者』の下巻です。
幾つかの事件が一点に収束する展開が楽しい。
と言っても,事件の様相が二転三転するわけではないのが物足りない。
まあ,〈リンカーン・ライム〉シリーズとは違うので仕方がないのですけれどね。
群集事故を引き起こしたアンティオック・マーチの手腕は称賛に値します。
但し,その事件の真の目的はかなり想定通りなのは残念でした。
実に現代的な目的であり,それが故に見通し易かったとも言えます。
そして,キャサリン・ダンスが左遷される原因となった事件の真相は予想外。
途中からなんとなくおかしいなという意識はあったのですけれどね。
T.J.スキャンロンがいずれの事件でも重要な役割を担ったのは嬉しい。
改めて彼の有能さが素晴らしいです。
ウェスとマギー,キャサリン・ダンスの子供たちそれぞれの事情も明らかにされます。
このあたりは本筋とは絡まないのですが,大変に面白かった。
特にウェスについてはかなり安心させられました。
そして,ジョン・ボーリングとマイケル・オニールとの関係にも答えが出されます。
これもまた予想通りと言えば予想通りなのですが,此処で来るとは思いませんでした。
リンカーン・ライム程の天才性がない分,泥臭い捜査が続くのは好み。
事件そのものの結末は〈リンカーン・ライム〉よりも面白さを感じないのは残念です。
いつか,また,キャサリン・ダンスとリンカーン・ライムの競演が見たいです。
彼との思い出の品が登場することに嬉しさを感じる作品でありました。

(文春文庫 2019年)
posted by 森山樹 at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想

2020年01月12日

ジェフリー・ディーヴァー『扇動者(上)』

〈2020年読書感想2冊目〉
ジェフリー・ディーヴァー『扇動者(上)』


嘘を見抜く天才を主人公に据える〈キャサリン・ダンス〉シリーズの第4作目です。
今作で対峙する相手は題名通りに群集心理を巧みに突く凶悪な扇動者。
その悪質な手法はこれまでの誰よりも腹立たしさを覚えます。
反抗の目的が未だに判然としないというのも非常に怖い。
キャサリン・ダンス自身も犯人の標的にされてしまっています。
上巻末ではかなり危機的な状況に陥っていますが,打開策はあるのでしょうか。
また,同時並行的に起こっている事件が如何に絡むのかも楽しみです。
特にキャサリン・ダンスが左遷される原因となった事件が気になります。
本当にキャサリン・ダンスの失策なのかも疑わしいように感じます。
ジョン・ボーリングとの関係は一歩進んだけれど,この要素はどうでもいいかなあ。
相変わらず,マイケル・オニールにも心揺れる感情を持っているようでもありますが。
如何なる苦難も乗り越えていくキャサリン・ダンスは本当に魅力的。
左遷されながらも,きちんと自己の立ち位置は確立していますしね。
登場人物は多いのですが,個性が立っているので混同することはありません。
スティーヴ・フォスターの動向にやや不穏なものを感じるのは気のせいかなあ。
扇動者であるアンティオック・マーチの視点も興味深いものがあります。
キャサリン・ダンスとアンティオック・マーチの息詰まる心理戦の結末が楽しみです。
そして,その先に潜むであろう事件の真の姿も期待せざるを得ません。
改めてジェフリー・ディーヴァーの語り口の上手さを実感させられます。

(文春文庫 2019年)
posted by 森山樹 at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想

2020年01月11日

峰守ひろかず『絶対城先輩の妖怪学講座(12)』

〈2020年読書感想1冊目〉
峰守ひろかず『絶対城先輩の妖怪学講座(12)』


これが最終巻となる〈絶対城先輩の妖怪学講座〉の第12巻です。
前巻で,概ね本筋の決着はついており,今巻はシリーズ集大成といった印象。
シリーズを彩った人物が彼処に登場するのが嬉しい。
そして,物語の展開も今シリーズの王道といって良いでしょう。
妖怪の意外な正体や伝承の想定外の真相,起伏に富んだ物語が飽きさせません。
今巻の題材となるのは“猫”に纏わる妖怪や伝承,昔話等。
猫ばばや猫また,猫の王に五徳猫と猫尽くしの一巻となっています。
猫尽くしでありながら,一章の章題が「火車」という意外性もの楽しい。
勿論,火車と猫の意外な繋がりも非常に楽しいものがあります。
とは言え,“猫の王”の意外過ぎる真相は流石に牽強付会かなあ。
それを承知の上で,十分に楽しめる作品に仕上がっているのは嬉しいです。
“猫また”の正体はシリーズを読み続けてきた身としては思わず頬が緩みます。
科学的な見地からの検証も為されているのが説得力を有していますね。
絶対城阿頼耶とユーレイこと礼音の着地点は想定通りながら悪くなかった。
杵松先輩と織口先生もそれぞれの立場で存分に活躍をしてくれました。
特に杵松先輩はシリーズを通しての立役者のひとりでありますね。
また,〈狐〉も端役ながら,その存在感を発揮しています。
残念だったのは,クラウス先生と櫻城晃の出番が少なかったことかなあ。
尤も,あまり登場人物を増やし過ぎても問題はあるのではありますけれども。
ともあれ,シリーズの最後を飾るに相応しい作品でありました。
絶対城と礼音の葛藤とその回答も非常に満足のいくものでありました。
このシリーズに出逢えたことに心からの感謝を。
いつか,また,絶対城達に再会出来る日が来ることを願って已みません。

(メディアワークス文庫 2019年)
posted by 森山樹 at 11:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想