2019年08月21日

鯨統一郎『女子大生つぐみと邪馬台国の謎』

〈2019年読書感想48冊目〉
鯨統一郎『女子大生つぐみと邪馬台国の謎』


『女子大生つぐみと古事記の謎』に続くシリーズの第2作目,となるのかな。
前作も勿論読んでいるのですが,印象はかなり薄め。
読んでいるうちに内容をなんとなくは思い出しましたが。
今作は鯨統一郎得意の邪馬台国が主題ということで期待をしていました。
例によって,殺人事件と歴史上の謎のふたつをつぐみが追うという展開になります。
そして,殺人事件が殆ど必要がないのも相変わらず。
割とあっさりと前作の重要人物を退場させたのは驚きましたが。
登場人物は結構いるのですが,そんなに機能しているようには思えない。
歴史上の謎だけに焦点を絞ったほうがいいのではないかなあ。
というわけで,殺人事件の方は正直全く心惹かれませんでした。
一方の邪馬台国の謎については流石にいろいろと面白かった。
『邪馬台国はどこですか』で提唱された東北説を更に補完する内容になっています。
早乙女静香と三谷教授が脇役として登場するのも嬉しいところ。
尤も,どちらも情報提供役としての役割しか担ってはいませんが。
宮田六郎は流石に登場しなかったけれど,彼の説はきちんと機能しています。
主人公でなければ静香は割と良識的に見えるのが興味深い。
地の文でいろいろとツッコミが入るのはいつも通りですけれど。
邪馬台国とアラハバキの関係についてはかなり強引かなあという印象。
思考実験としての面白さは否定出来ないのですけれどね。
如何にも鯨統一郎らしいなあという作品でありました。
但し,邪馬台国が絡むと俄然面白くなるのも事実。
個人的には殺人事件等を絡めるよりも歴史談義に的を絞って欲しく思います。
それだけで十分に面白いのですから。
邪馬台国に係る次なる作品の提示を心待ちにしています。

(ハルキ文庫 2019年)

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2019年08月19日

ジェームズ・ロリンズ『ジェファーソンの密約(下)』

〈2019年読書感想47冊目〉
ジェームズ・ロリンズ『ジェファーソンの密約(下)』〈シグマフォース〉


様々な形で激震が走る〈シグマフォース〉の第6作目です。
アメリカ建国やモルモン教等やや馴染みが薄い要素は多かったものの楽しかった。
いろいろと刺激的な内容ではありますので,賛否はありそうですが。
失われた十支族を絡めてくるのは大変好み。
ただ,歴史学的というよりも神秘学的な傾向が強くなるのは致し方ないのかな。
一方の科学的側面であるナノマシンというかナノネストは理解が追い付かず。
古代からナノマシンがあったという前提だけで終わってしまっている気がします。
相変わらず事後処理はあっさりし過ぎで,世界の危機が安っぽく感じられます。
ダマスクス鋼を持ち出してくるのはその筋の趣味者としては楽しいのだけれどね。
ジェファーソンが残したギルドに繋がる暗号の解読は単純だけど好き。
一目で看破するペインター司令官が流石でありました。
但し,ギルドの全容というか目的等は未だに明かされず。
前作で名前だけ登場したエシェロンという存在もまだ分かりません。
ギルドがアメリカという国の中枢を蝕んでいることだけは明かされましたけれどね。
ペインター司令官の推理通りならば次作での敵はアメリカそのものになりそう。
シグマフォースにとって最大の危機と言える事態でありましょう。
そして,グレイも大いなる悲劇に相まみえることになってしまいました。
このあたりも説明不足の点は多いのですけれどね。
ウォルドーフが何故的確にグレイの行動を把握していたのかは次作で明かされるのかしら。
今作で対峙したギルドのラファエル・サンジェルマンは割と魅力的でした。
アシャンダとの関係も含めて,今作で退場してしまうのが惜しまれます。
その分,ウォルドーフの悪辣さが目立っているような気もしますが。
カイやハイズマン,ハンクら脇役陣も相応に活躍を見せてくれます。
このあたりは次作以降でも再登場して欲しいものです。
ギルドとの戦いを描く三部作は次作が最終作。
巨大な敵に対するシグマフォースの戦いを期待したいと思います。

(竹書房文庫 2014年)

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2019年08月18日

購入記録(2019.08.18)

ボイド・モリソン 失われたノアの方舟(上) 竹書房文庫 ¥720
ボイド・モリソン 失われたノアの方舟(下) 竹書房文庫 ¥720
ジェームズ・ロリンズ Σ FILES 〈シグマフォース〉機密ファイル

『失われたノアの箱舟』は〈タイラー・ロックの冒険〉シリーズの第1作目。
ジェームズ・ロリンズの〈シグマフォース〉と同様に竹書房文庫からの刊行です。
シリーズの先の方ではネッシーやロズウェル事件も扱われるみたい。
やや神秘主義的傾向が強い冒険小説かもしれません。
それはそれで好みなので楽しみにしたいところです。
『Σ FILES 〈シグマフォース〉機密ファイル』は短篇集+ガイドブック。
『ギルドの系譜』の次くらいに読むのが適切ですかね。
ガイドブック要素はともかく短篇は期待したいと思います。

〈2019年書籍購入覚書〉 計79冊
posted by 森山樹 at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録

購入記録(2019.08.17)

ジェームズ・ロリンズ ギルドの系譜(上) 竹書房文庫 ¥698
ジェームズ・ロリンズ ギルドの系譜(下) 竹書房文庫 ¥756

〈シグマフォース〉の7作目を無事に購入。
ギルドとの戦いに終止符が打たれるとのことなので楽しみ。
或る意味で此処までの集大成的な作品と言えるのかもしれません。
グレイとセイチャンの関係も一定の結論が出るのかな。
この後もシリーズは続きますが,読書は一旦小休止するつもりです。
年内までには最新作まで追いつきたいと思っていますが。

〈2019年書籍購入覚書〉 計76冊
posted by 森山樹 at 09:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録

2019年08月17日

ジェームズ・ロリンズ『ジェファーソンの密約(上)』

〈2019年読書感想46冊目〉
ジェームズ・ロリンズ『ジェファーソンの密約(上)』〈シグマフォース〉


ギルドの起源とアメリカ建国の謎に迫る〈シグマフォース〉の第6作目。
ネイティブアメリカンを祖に持つペインター司令官がほぼ主役となっています。
姪であるカイが事件に巻き込まれているというのもありますが。
というか,グレイが様々な事情でやや冴えない立ち位置なのですよね。
セイチャンが今回は当初からシグマフォースへ協力姿勢を見せるのは嬉しい。
レイチェルを交えたグレイとの奇妙な三角関係はそのままのようですが。
前作に引き続きギルドとの対決が主体ということで非常に楽しい。
今作の敵であるラファエル・サンジェルマンもなかなか素敵な人物です。
傍に仕えるアシャンダとの関係も興味深い。
歴史的事象はアメリカ建国と第十四番目の州の秘密について。
ベンジャミン・フランクリンの手紙に記されたギルドの紋章の謎が面白い。
アメリカ建国時にもギルドが或る種の力を持っていたことが示唆されます。
そして,それはジェファーソンやフランクリンとは敵対する勢力としてでした。
イロコイ連邦の歴史的な役割は知らなかったので刺激になります。
アメリカ建国についてもう少し知る必要を感じました。
そして,科学的事象はニュートリノとナノマシンということになるのかな。
いまいちまだ判然としない部分が多いのですけれども。
ネイティブアメリカンが封印した呪いと科学者の消失が魅力的です。
触れることで物質が変性し,分解・消失に至る事象が恐ろしい。
この事象とニュートリノ量の変化に如何なる意味を持たせるのに期待します。
折に触れてスーパーカミオカンデが登場するのは妙に嬉しさを感じますね。
気になるのは久しく登場していなかったグレイの両親の問題が悪化していること。
なんとなく,致命的な事件が起きる前触れな気がしてなりません。
過去作よりも陰鬱な印象が強いのですよね。
尤も,こういうときにコワルスキーの存在が癒しとして役立つのですけれども。
ペインターとグレイの両軸から描かれる物語は下巻へ。
アメリカ建国とギルドとの関係の真相が解き明かされることに期待します。

(竹書房文庫 2014年)

posted by 森山樹 at 08:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想