2019年03月14日

高田崇史『試験に出ないQED異聞』

〈2019年読書感想4冊目〉
高田崇史『試験に出ないQED異聞』


高田崇史のデビュー20周年を記念して刊行された短篇集です。
〈QED〉や〈古事記異聞〉など講談社ノベルスで刊行されたシリーズの番外篇でもあります。
「九段坂の春」は既に別の短篇集で既読。
タタルの中学生時代のほろ苦い初恋が描かれます。
完結まで読んだ身としては,割合に重要な掌篇であったと実感しますね。
シリーズ後半の重要人物の初登場する篇でもありました。
「QED〜ortus〜鬼神の社」はタタルと奈々の出逢いの物語。
事件そのものは大したことがないのですが,この後の二人を想うと感慨深いです。
「木曾殿最期」は〈QED〉と〈古事記異聞〉が交差する物語です。
〈古事記異聞〉の主人公である雅が民俗学を志す契機になった出来事が語られます。
雅の目を通して語られるタタルと奈々の姿が面白い。
まあ,傍から見ればある種の不審人物ではありますね。
木曾殿こと源義仲の実像に迫る本篇も読みごたえがありました。
いつもとは異なり殺人事件が絡みませんが,これで全く問題ありません。
素直に歴史や民俗に焦点を絞ったほうが楽しめるような気がします。
〈古事記異聞〉は今後の展開に期待しています。
また,〈QED〉は既に完結していますが,折に触れて番外篇の発表があると嬉しいです。

(講談社ノベルス 2019年)

タグ:高田崇史
posted by 森山樹 at 06:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想