2019年04月06日

峰守ひろかず『妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ 』

〈2019年読書感想10冊目〉
峰守ひろかず『妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ 』


〈絶対城先輩の妖怪学講座〉の峰守ひろかずの新作です。
本作で完結はしているのですが,次へと繋がる引きも用意されています。
今後の反響次第ではシリーズ化の構想があるのかもしれません。
古今東西の“人魚”が本作の題材となっています。
伝説や伝承を基に独自の解釈で人魚を解き明かすのが面白い。
このあたりは峰守ひろかずの面目躍如といったところでありましょう。
幾多の人魚の特徴を一点に集約させる手法は流石です。
特に古い伝承のみに留まらず,ニンゲンといった最近の伝承までも取り入れるのが良い。
いささか牽強付会ではありますが,きちんと破綻のない説にまとまっています。
これだけで十分に満足であります。
物語としてはやや先が見通しやすい展開だったのは残念。
王道を行っているという言い方も出来るでしょうけれども。
それが故に安心して楽しめます。
主人公の陸と宇路子の組み合わせは素直に好き。
宇路子の人物造形はやや狙い過ぎなものを感じますが,いつものことかな。
陸の先輩の伊出もいい味を出していました。
人魚を巡る物語は今回で幕を一旦閉じましたが,続きはありそうな感じ。
陸と宇路子に再会する日を心待ちにしたいと思います。

(メディアワークス文庫 2019年)

posted by 森山樹 at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想