2019年07月28日

神坂一『スレイヤーズ(2)アトラスの魔道士』

〈2019年読書感想37冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(2)アトラスの魔道士』


再読を進めている〈スレイヤーズ〉の第2巻です。
今にして思えば,シリーズの中でも割と異質な一冊かもしれません。
ほぼ終始,仲間がリナとガウリイだけというのは意外に珍しい感じ。
また,魔王シャブラニグドゥが全く絡まない物語もこれくらいじゃないかな。
このあたりは実質的なシリーズ開始に際しての模索が垣間見えます。
とは言え,続く作品への引きというか伏線も大いに張ってあるのですが。
特に無貌のセイグラムの後の作品での再登場はかなり燃えるものがありました。
一方で扱いが割とぞんざいなギオ=ガイアあたりも定番といえば定番かなあ。
黒の戦士ロッドの存在感は素晴らしい。
この巻のみの登場というのがあまりにも惜しく思えてしまいます。
物語としてはアトラス・シティの魔道士協会を巡る抗争が主軸。
軽妙洒脱な雰囲気が漂いますが,内容としてはかなり陰鬱なもの。
デイミアの辿った運命はランツが吐き気を催すのも理解が出来ます。
実質的なヒロインと言えるルビアの立ち位置も悪くない。
まさか,このだいぶん後で再登場するとは思ってもみなかったけれども。
前巻に引き続き戦いの決着が力押しではないというのが良いですね。
というか,事実上はリナ達の敗北と言ってもいいくらいかもしれません。
但し,綺麗な終わり方ではあると思います。
街中だから竜破斬を使えないという理由づけも説得力がありました。
因みに復刊版に附録の作者のあとがきが楽しいです。
いつもの座談会形式とは違いますが,これはこれで十分にありでしょう。
軽くて面白い文章書かせれば本当に天下一品だなあと思います。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

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posted by 森山樹 at 08:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想