2019年08月03日

神坂一『スレイヤーズ(4)聖王都動乱』

〈2019年読書感想39冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(4)聖王都動乱』


表紙のアメリアが可愛い〈スレイヤーズ〉の第4巻です。
聖王国セイルーンを舞台とした陰謀劇と魔族との戦いが描かれます。
と言っても,魔族との戦いは今巻がほぼ端緒のようなもの。
本質的にはセイルーン王家内での闘争が主軸ではあります。
前巻で登場したシルフィールも旅の仲間に加わりますが諸事情でほぼ全休。
代わってセイルーン王家のアメリア王女がいろいろな意味で活躍してくれます。
第一部での主要な仲間はこれで概ね揃った感はありますね。
実際にはもう一人いるのですが,仲間というには微妙な立ち位置だしなあ。
別行動中のゼルガディスの出番が全くなかったのは残念だけれども。
今巻で重要なのはリナが魔族から狙われる存在になったということ。
中級魔族カンヅェルが今回の敵となりますが,今までの魔族とは異なる強さが素敵。
人間の恐怖を糧とする魔族の真の怖さがいろいろとたまりません。
後の巻に尾を引く展開としては暗殺者ズーマの存在も挙げられるでしょう。
その不気味な存在感は悪役の中でもかなり魅力的。
このあたりから意外にリナが戦闘では役に立たなくなってくるのですよね。
一撃必殺の竜破斬はあるにせよ,基本的には仲間たちに守られる存在といえます。
もっと傍若無人に強力な呪文をぶっ放して無双している印象だったんだけどなあ。
再読することで認識がかなり改められました。
但し,光の剣に竜破斬を載せる等の発想力は素晴らしい。
この種の人知を超えた発想力こそが本来のリナの最大の武器なのかもしれません。
セイルーン王家の陰謀劇そのものは安直で定型どおり。
まあ,フィリオネル王子が掛けた最後の言葉は響きましたが。
そして魔族との戦いを決意したリナは闇の伝説が残るディルス王国へ。
第一部の最後に向けての疾走がこの巻から始まる予感があります。
やっぱり楽しいなあ。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

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posted by 森山樹 at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想