2019年08月19日

ジェームズ・ロリンズ『ジェファーソンの密約(下)』

〈2019年読書感想47冊目〉
ジェームズ・ロリンズ『ジェファーソンの密約(下)』〈シグマフォース〉


様々な形で激震が走る〈シグマフォース〉の第6作目です。
アメリカ建国やモルモン教等やや馴染みが薄い要素は多かったものの楽しかった。
いろいろと刺激的な内容ではありますので,賛否はありそうですが。
失われた十支族を絡めてくるのは大変好み。
ただ,歴史学的というよりも神秘学的な傾向が強くなるのは致し方ないのかな。
一方の科学的側面であるナノマシンというかナノネストは理解が追い付かず。
古代からナノマシンがあったという前提だけで終わってしまっている気がします。
相変わらず事後処理はあっさりし過ぎで,世界の危機が安っぽく感じられます。
ダマスクス鋼を持ち出してくるのはその筋の趣味者としては楽しいのだけれどね。
ジェファーソンが残したギルドに繋がる暗号の解読は単純だけど好き。
一目で看破するペインター司令官が流石でありました。
但し,ギルドの全容というか目的等は未だに明かされず。
前作で名前だけ登場したエシェロンという存在もまだ分かりません。
ギルドがアメリカという国の中枢を蝕んでいることだけは明かされましたけれどね。
ペインター司令官の推理通りならば次作での敵はアメリカそのものになりそう。
シグマフォースにとって最大の危機と言える事態でありましょう。
そして,グレイも大いなる悲劇に相まみえることになってしまいました。
このあたりも説明不足の点は多いのですけれどね。
ウォルドーフが何故的確にグレイの行動を把握していたのかは次作で明かされるのかしら。
今作で対峙したギルドのラファエル・サンジェルマンは割と魅力的でした。
アシャンダとの関係も含めて,今作で退場してしまうのが惜しまれます。
その分,ウォルドーフの悪辣さが目立っているような気もしますが。
カイやハイズマン,ハンクら脇役陣も相応に活躍を見せてくれます。
このあたりは次作以降でも再登場して欲しいものです。
ギルドとの戦いを描く三部作は次作が最終作。
巨大な敵に対するシグマフォースの戦いを期待したいと思います。

(竹書房文庫 2014年)

posted by 森山樹 at 06:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想