2019年09月11日

神坂一『スレイヤーズ(11)クリムゾンの妄執』

〈2019年読書感想55冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(11)クリムゾンの妄執』


魔族の陰謀が人間社会を蝕みつつあることを実感する〈スレイヤーズ〉第11巻です。
まあ,魔族自体は登場しないというのが,割と珍しい展開ではあります。
魔道士協会が舞台や人間のキメラが登場するので『アトラスの魔道士』を想起させます。
このあたりは前巻から引き続く傾向ではありますね。
また,第二部で仲間となるルークとミリーナの出番がないのも特徴的。
あまりに陰鬱な結末も含めて,シリーズの中では異彩を放っています。
尤も,今後は最後までこの傾向は引き継がれていくのですけれどね。
何気に,どころか今巻は登場人物がほぼ全員退場してしまうというのはしんどい。
魔道士ディラールなんて何のために登場したのかすらよく分かりませんでした。
ベルとアリアの姉妹の悲劇もやるせないものを感じてしまいます。
人間の負の感情に付け込む魔族の悪趣味さが強烈なお話でありました。
ドゥールゴーファが大きな役割を果たし,覇王将軍シェーラの再登場を予感させます。
現段階では覇王将軍シェーラ及び覇王グラウシェラーの目的は不明のまま。
それ以外の獣王や海王が何処まで関わっているのも未だに分かりません。
獣王が参戦しているなら,ゼロスも登場しそうなものですけれどね。
しかし,第二部に入ってからは敵が外道ばかりというのは辛い。
第一部以上に敵味方第三者の退場者が多いような気がします。
今にして思えば,アメリアのあの明るい雰囲気は救いでありましたね。
相変わらず戦闘場面が多くて物語としては薄さを感じるのも難点かなあ。
第二部としての方向性は分かりますが,何処か迷走も感じさせます。
このあたりは覇王将軍シェーラが再登場するであろう次巻に期待します。
魔族の新たな目的が判明することで展開も締まったものになると思いたいところ。
第一部後半程度には盛り上がることを楽しみにしています。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

タグ:神坂一
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2019年09月09日

購入記録(2019.09.09)

神坂一 スレイヤーズ(12)覇軍の策動 富士見ファンタジア文庫 ¥648
神坂一 スレイヤーズ(13)降魔への道標 富士見ファンタジア文庫 ¥648

現在読み進めている〈スレイヤーズ〉第二部の続きを購入しました。
これで残すは2冊のみとなるのかな。
第16巻は一応番外篇的な扱いになりますしね。
第三部への導入となる予感がしなくもありませんが。
しかし,再読の筈なのに意外に第二部は印象が薄いのですよね。
というか,第一部がやたら濃過ぎた弊害かもしれません。
これはこれで悪くはないのですけれども。

〈2019年書籍購入覚書〉 計87冊
posted by 森山樹 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録

神坂一『スレイヤーズ(10)ソラリアの謀略』

〈2019年読書感想54冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(10)ソラリアの謀略』


表紙のワイザー捜査官を全く覚えていなかった〈スレイヤーズ〉第10巻です。
いや,まあ,読んでいるうちにこんな人いたなあとか思い出したけれど。
何気に短篇と長篇どちらにも顔を出す数少ない人物のひとりなのですよね。
後はセイルーンのフィリオネル王子くらいではないかしら。
物語としては前巻で登場した黒装束の集団との決着が描かれます。
逆を言えば,魔族陣営は欠片も登場しないのが珍しい感じ。
尤も,人魔或いはハーフ・デーモンという形で魔族は登場します。
人間を魔族と融合するという発想が何とも外道で非道。
合成魔獣研究所の存在も含めて『アトラスの魔道士』に似ています。
但し,宿と王城を何度も往復するだけの物語展開は安直に過ぎるよなあ。
物語というよりも人魔との戦いだけが繰り広げられる印象なのですよね。
人魔の特性上仕方がないのかもしれませんが,黒妖陣ばかりが多用されるし。
まあ,黒妖陣を含めて呪文の多様な応用は楽しかったです。
再登場のルークとミリーナは相変わらず印象が薄め。
人間が嫌いになりそうと呟くルークに後の伏線を垣間見ることが出来ます。
それよりも前巻から登場のザインの変貌が悪くなかった。
ゾードとともに人魔としての異形の強さを見せつけてくれます。
そして,今回の最大の敵役となるラーヴァスの圧倒的な強さが楽しい。
ガウリイが最終盤まで対人間しか役に立たないというの要因ではあります。
いずれにせよ,今巻でガウリイが魔力剣を入手したことで改善される筈。
姿を見せなかったシェーラたち魔族陣営の動向も気になるところです。
第一部に比べて物語が見え難い印象がありますね。
様々な制約の中で最善手を模索するリナの戦い方は引き続き楽しい。
前巻からの時間経過や地理的な位置関係が不明なのは残念。
このあたりはこんなに不親切だったかなあと改めて認識しました。
とりあえず次巻も早速読み進めて行きたいと思います。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

タグ:神坂一
posted by 森山樹 at 06:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想

2019年09月08日

神坂一『スレイヤーズ(9)ベゼルドの妖剣』

〈2019年読書感想53冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(9)ベゼルドの妖剣』


リナとガウリイ以外の仲間を一新して開始する〈スレイヤーズ〉第二部開幕篇です。
表紙はルーク,ミリーナ,シェーラの三人が中心。
一番大きく扱われているのがルークというのは今後を考えれば当然かもしれません。
とりあえずの旅の主題は光の剣に代わるガウリイの剣探し。
今巻の舞台はカルマート公国のベゼルドという街になります。
カルマート公国はこれまでもマインやヴェゼンディが登場しています。
ただ,〈スレイヤーズ〉は地図がないから周辺の地理事情がさっぱり分かりません。
このあたりはちょっと不案内に過ぎる気がしますね。
第一部で滅びた魔竜王ガーヴの力を使う呪文は使用不可という設定は好き。
尤も,このことを考慮していなかったリナは迂闊な気がしますが。
物語としては殆ど進行していないように思えるのはどうなんだろう。
ルークとミリーナ,それにシェーラの顔見せだけに終わっています。
新たな敵として覇王グラウシェラーの提示がされたのは楽しいけれど。
少女シェーラを付け狙う黒装束の集団も謎のままですしね。
大して見せ場もないままに魔族化されたガルヴァは不憫でした。
そして,ガルヴァを置いて逃亡したザインは一応今後に繋がる伏線かな。
新たに登場のルークとミリーナは悪くないのですが印象がやや薄め。
ゼルガディスやアメリア,ゼロスといった強烈な個性には欠けています。
まあ,このふたりの活躍はこれからなので仕方がないのですけれど。
第一部よりも更に陰鬱な展開を覚えているので不安も大きいです。
何はともあれ,このまま暫くは〈スレイヤーズ〉第二部を堪能します。
早く第三部の刊行も始まって欲しいものですね。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

タグ:神坂一
posted by 森山樹 at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想

2019年09月04日

ジャック・カーリィ『百番目の男』

〈2019年読書感想52冊目〉
ジャック・カーリィ『百番目の男』


刑事カーソン・ライダーを主役とするシリーズの第1作目。
猟奇的殺人鬼の兄ジェレミーが知恵袋となっているのが面白い。
まあ,『ハンニバル』からの伝統的な設定ということでもありますが。
アメリカ的な比喩や修辞が多くて,やたらと文章が読み辛いのは難点。
このあたりは翻訳ではなく原文を読んだ方が良いのでしょうね。
そこまでの気概はありませんが。
事件としては連続斬首殺人事件と被害者の体に残された文章の謎が主体。
明かされた真相の意外性は他に類を見ません。
というか,普通は思いついてもそれを実行しようとはしないというか。
凄惨な事件なのに何処か戯画的に感じられてしまいました。
事件を追うのはカーソン・ライダーとその相棒ハリーのふたり。
上司の妨害に逢いながらも真相へと突き進むふたりの掛け合いが楽しいです。
暴走しがちなカーソンを年長者として諫めるハリーの存在が素敵です。
普段は割と適当でいい加減さも見せるのに締めるところは締めてくれます。
一応のヒロインはアヴァと言えるのかな。
アルコール中毒の病理学者というのもなかなかない設定ではあります。
そして,ジェレミーの存在感が出番は少ないながらも抜群に良い。
尤も,知性よりも異常性が勝っているような気がしないでもありませんが。
面白いのは十分に面白いのですが,いろいろと不満点も感じます。
特にカーソンとハリー以外の警察があまりにも無能というのは残念。
アメリカの警察の実態を反映しているのだとしたら嫌だなあ。
事件に関わる人物たちの魅力も殆ど感じられませんでした。
コールフィールドは誤導に持ち込めてさえいなかったですしね。
今後のシリーズ展開に期待したいところでしょうか。
続巻以降も徐々に読み進めていきたいと思います。

(文春文庫 2005年)

posted by 森山樹 at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想