2019年09月04日

ジャック・カーリィ『百番目の男』

〈2019年読書感想52冊目〉
ジャック・カーリィ『百番目の男』


刑事カーソン・ライダーを主役とするシリーズの第1作目。
猟奇的殺人鬼の兄ジェレミーが知恵袋となっているのが面白い。
まあ,『ハンニバル』からの伝統的な設定ということでもありますが。
アメリカ的な比喩や修辞が多くて,やたらと文章が読み辛いのは難点。
このあたりは翻訳ではなく原文を読んだ方が良いのでしょうね。
そこまでの気概はありませんが。
事件としては連続斬首殺人事件と被害者の体に残された文章の謎が主体。
明かされた真相の意外性は他に類を見ません。
というか,普通は思いついてもそれを実行しようとはしないというか。
凄惨な事件なのに何処か戯画的に感じられてしまいました。
事件を追うのはカーソン・ライダーとその相棒ハリーのふたり。
上司の妨害に逢いながらも真相へと突き進むふたりの掛け合いが楽しいです。
暴走しがちなカーソンを年長者として諫めるハリーの存在が素敵です。
普段は割と適当でいい加減さも見せるのに締めるところは締めてくれます。
一応のヒロインはアヴァと言えるのかな。
アルコール中毒の病理学者というのもなかなかない設定ではあります。
そして,ジェレミーの存在感が出番は少ないながらも抜群に良い。
尤も,知性よりも異常性が勝っているような気がしないでもありませんが。
面白いのは十分に面白いのですが,いろいろと不満点も感じます。
特にカーソンとハリー以外の警察があまりにも無能というのは残念。
アメリカの警察の実態を反映しているのだとしたら嫌だなあ。
事件に関わる人物たちの魅力も殆ど感じられませんでした。
コールフィールドは誤導に持ち込めてさえいなかったですしね。
今後のシリーズ展開に期待したいところでしょうか。
続巻以降も徐々に読み進めていきたいと思います。

(文春文庫 2005年)

posted by 森山樹 at 05:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想