2019年09月14日

神坂一『スレイヤーズ(12)覇軍の策動』

〈2019年読書感想56冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(12)覇軍の策動』


第一部に引き続きディルス王国が舞台となる〈スレイヤーズ〉第12巻です。
サイラーグといい,ガイリア・シティといい,不運な街はとことん不運です。
それでもめげずに復興するのが,この世界の人間の強さというべきか。
とりあえずは覇王将軍シェーラとの決着を見る巻でもあります。
まあ,割とあっさり気味だった気がしないでもありませんが。
ルークやミリーナに加えて,ミルガズィアも再登場するのが嬉しい。
更に新たにエルフ少女のメンフィスも姿を見せます。
尤も,ミルガズィアとメンフィスの出番は実質物語終了後なのですけれど。
次巻以降での活躍を楽しみにしたいものです。
第二部らしい心を折るようなえぐい展開は健在。
前巻程ではありませんが,家族の絆を断ち切る魔族らしさがたまりません。
今巻で初登場のジェイドはこの世界では珍しい真っ当な騎士だけに余計に。
このあたりも次巻以降への伏線となっているのが更に厭らしいです。
覇王将軍シェーラとその配下の魔族の出番がかなり多いのも今巻の特徴。
レビフォアと『シャーマン』以外は割に一発屋に止まっていますが。
そして,今巻ではミリーナの知的な戦いぶりが目立っています。
援護役としての彼女の立ち位置が非常に素敵。
ルークへの語られざる想いもなかなか悪くありません。
これもまた伏線かと思うと複雑な感情を抱かざるを得ませんが。
基本的には戦闘場面が中心という構成はこれまで通り。
人間心理を突くリナの悪辣な戦術はやはり楽しいです。
そろそろ事件を操る覇王グラウシェラー本人も登場してくる頃でしょう。
覇軍の策動の真意が明らかになる時を期待します。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

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posted by 森山樹 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想