2019年09月16日

購入記録(2019.09.16)

椹野道流 暁天の星 鬼籍通覧 講談社文庫 ¥821
和田賢一/他 クトゥルーはAIの夢を見るか? 青心社文庫 ¥734

『暁天の星 鬼籍通覧』は新装版ということで購入しました。
これから毎月新装版が刊行されるようです。
何処まで読んだか忘れたので,改めて読んでみるつもり。
法医学を題材としたミステリィはそれなりに好みなのです。
きちんと完結させて欲しいものですけれど。
『クトゥルーはAIの夢を見るか?』は題名買い。
まあ,青心社の〈クトゥルー神話〉なら間違いないでしょう。
著者の名前に見覚えがなかったのはやや不安ですが。
アンソロジーなので1篇くらい気に入ると儲けものですかね。

〈2019年書籍購入覚書〉 計93冊
posted by 森山樹 at 13:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録

雪富千晶紀『ブルシャーク』

〈2019年読書感想58冊目〉
雪富千晶紀『ブルシャーク』


富士山の麓の山中の湖に突如現れた巨大鮫による災厄を描いたパニック小説です。
鮫映画という分野がありますが,まさにそれの小説版といった感じ。
トライアスロン大会が開催される“その日”が迫る雰囲気が大変怖くて良い。
また,様々な人物の視点から追われる群像劇といった趣も好みであります。
題名となっているブルシャークとはオオメジロザメのこと。
河川を遡り淡水域でも生存出来る非常に厄介で凶暴な鮫であります。
映画『ジョーズ』の元になった事件もこの鮫が引き起こしたのではなかったかな。
密かに,そして徐々に増えていくブルシャークの忍び寄る被害が非常に良いです。
勿論,人間たちの思惑が絡み合い,取り返しのつかない事態へと進むのもお約束。
大会を是が非でも開催したい市当局とスポンサーに唾棄したくなります。
また,通常よりも更に巨大なブルシャークそのものの謎が描かれるのも面白い。
科学的な見地からの説明は興味深いものがありました。
実際にこのような作用が働くのかどうかは別にして説得力はあります。
事実上の主人公である矢代とマリのふたりはかなり魅力的で良かった。
特に矢代は大会運営の責任者でありながら,被害を食い止める側で尽力します。
様々な思惑に翻弄されながらも最後まで諦めない姿勢が格好いい。
マリは海洋生物学の准教授として鮫の正体を探る役割を担います。
親友であるウィル・レイトナーの失踪への想いも悲しみに溢れていて良かった。
また,トライアスロンのかつての覇者であるジャック・ベイリーの立ち位置も素敵。
一面を惨劇に変えたブルシャークの襲撃から選手の救助に奔走します。
葛藤を抱えながらも或る種の贖罪を果たす彼はまさに救世主でありました。
いろいろな出来事を描きながら迎えたトライアスロン大会の日の緊張感がたまらない。
惨劇を予感させながら,実際に惨劇が起こることに,やりきれなさを感じます。
何処かで歯止めをかけることが出来た筈なのですよね。
とは言え,大暴れするブルシャークに狡猾なまでの魅力があるのもまた事実。
何と言うか非常に優れたパニック小説であるなあと感じました。
展開に意外性はないのですが,だからこそ王道としての面白さというべきでしょうか。
個人的にはかなり好みの作品でした。
折に触れて挿入される,とある生物からの視点も効果的です。
次回作を予感させる結末も如何にも鮫映画的であると言えましょう。
この作者の作品はいずれ追っていきたいと思います。

(光文社 2019年)

タグ:雪富千晶紀
posted by 森山樹 at 08:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想