2019年10月28日

櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下』

〈2019年読書感想66冊目〉
櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下』


人間関係に変化が見られる〈ホーンテッド・キャンパス〉第3作目です。
新たにこよみの元同級生で好青年の小山内陣が登場する巻でもあります。
今作も全部で5篇が収録された短篇集となっています。
また,怪異趣味はこれまでよりも更に不穏さを増しているのが素敵。
「白丁花の庭」と「泣きぼくろのひと」以外の作品は不気味な悪意を感じさせます。
と言っても,それ程恐怖感を覚えることはないのですが。
「泣きぼくろのひと」はなんとなく釈然としないのが残念。
事件を操る人の真意は分からないでもないのですけれどね。
関わった人たちを一番傷付ける終わり方になってしまったような気がします。
「覗く眼」は怪異よりも人間の所業のほうが遥かに怖い作品。
まあ,定番と言えば定番でありましょう。
一番好きなのは「月の夜がたり」かなあ。
雪女を巡る伝承を絡めた重層的な構造が楽しめました。
六部殺しが扱われるのも個人的には嬉しい。
小山内陣の登場で森司とこよみの関係が微妙に変化するのがじれったい。
というか,森司の煮え切らない心情に苛立ってしまうのですよね。
寧ろ小山内陣の完璧人間のようでいて少し抜けたところの方が魅力的。
読者からすれば,こよみの想いは明らかなだけにもどかしさを感じます。
そのこよみにもそれ程に魅力を感じないのが拍車をかけているというか。
圧倒的に先輩の藍の格好良さが際立っているのですよね。
花見の席に自分が釣った魚を刺身にして差し入れる豪快さもたまりません。
森司とこよみに陣を交えた三角関係が主軸になっていくのは辛いなあ。
これ以上となると辟易してしまいそうな感があります。
ホラー小説としての立ち位置からはぶれて欲しくないですね。

(角川ホラー文庫 2013年)

タグ:櫛木理宇
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2019年10月22日

神坂一『スレイヤーズ(15)デモン・スレイヤーズ!』

〈2019年読書感想65冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(15)デモン・スレイヤーズ!』


絶望と憎悪に捕らわれたルークとの戦いが描かれる〈スレイヤーズ〉最終巻です。
最終巻に相応しく意外な人物の再登場もあるのが嬉しい。
ルークの正体というか真の姿は意外なものでありました。
思えば,いろいろと伏線は貼られていたのですよね。
赤眼の魔王シャブラニグドゥとの再戦は最後を飾るに相応しいものでありましょう。
〈スレイヤーズ〉らしくリナの機転が勝利に繋がるという展開も素敵。
ルークの真の望みがあまりにも切なくて悲しい想いが残ります。
此処に来て明かされたミリーナの最後の言葉もたまらないですね。
そして,ゼロスとルビアがまさかの再登場。
まあ,魔王との戦いなのでゼロスの登場は或る程度予測は出来ましたが。
相変わらずの人の悪さを存分に見せつけてくれます。
魔王との戦いの後に姿を見せたりしないのも彼らしいと言えるでしょう。
獣王ゼラス=メタリオムと海王ダルフィンも僅かながらに登場したのも嬉しい。
ルビアは『アトラスの魔道士』以来の再登場となります。
此方は顔見世ではなく意外に重要な立ち位置が与えられていました。
また,ミルガズィアとメンフィスも姿を見せてくれます。
遂に第二部にゼルガディスとアメリアが登場しなかったのは残念でしたね。
特にゼルガディスは赤眼の魔王との戦いであれば因縁はあったのですが。
尤も,ルークとの最後の戦いはリナとガウリイだけが臨むのに相応しい。
陰鬱な展開の続く第二部でしたが,結末は意外に爽やかなのが良かった。
魔族として目覚めながらも,ルークが悪に堕ちきれなかったのがひとつかな。
リナとガウリイの旅がこれからも続いていくという終わり方も好みです。
というわけで,〈スレイヤーズ〉の再読はこれにて終わりです。
改めて読んでも十分に面白かったのが素晴らしい。
この雰囲気を年を経て刊行された第16巻以降にも期待したいと思います。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

タグ:神坂一
posted by 森山樹 at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想

2019年10月20日

神坂一『スレイヤーズ(14)セレンティアの憎悪』

〈2019年読書感想64冊目〉
神坂一『スレイヤーズ(14)セレンティアの憎悪』


表紙のミリーナの姿がいろいろと物語る〈スレイヤーズ〉の第14巻です。
陰鬱な雰囲気が漂う第二部の中でも圧倒的に後味が悪い巻となります。
この第二部の最終的となる存在がまさかの人物で驚きました。
人間に絶望する描写が続いたのが此処に収束するのかと感心しました。
第一部よりもシリーズを通しての伏線の貼り方が巧みなのですよね。
ゼルガディスやアメリアが第二部に登場しなかった理由も漸く分かります。
まあ,あくまでも創作上の制限と言えば,それまでなのでしょうが。
神官長の座を巡り4人の大神官による抗争が生じた都市が舞台です。
そこに巻き込まれたリナ達の戦いが描かれるというのはいつも通り。
すっかり存在を忘れていたゾードの再登場が大きな事件となるのは好み。
尤も,ゾードはその悪行に相応しい悲惨な末路を辿ることになるのですが。
終焉の引き金を引いてしまったのが取るに足らない人物だったというのがなんとも。
そして,中盤以降は復讐の鬼と化したルークとの戦いが続きます。
共に手の内を知り,気心も知れた仲ということでのやり難さが悲しい。
但し,それが故に相手の行動を熟知したうえでの心理戦は読み応えがあります。
今回の事件の黒幕の卑小さも呆気なくて,感情のやり場に困ります。
ルークにとってミリーナは或る意味で希望の象徴だったのでしょうね。
裏世界で暗殺者として生きてきたルークの過去が語られるのも辛かった。
ミリーナとの出逢いがそんなルークを救っていたのかもしれません。
だからこそ,ミリーナを失ったときの絶望と憎悪は計り知れなかった。
それでもリナとガウリイに暗に止めて欲しいと訴えるルークの心もまた本物。
第二部最終巻となる次巻ではルークとの決着が描かれることになります。
共に魔族と戦ってきたルークとの悲しい戦いのときが迫ります。
第三部の刊行も開始されましたし,第15巻も一気に読んでいきたいものです。

(富士見ファンタジア文庫 2008年)

タグ:神坂一
posted by 森山樹 at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想

2019年10月19日

購入記録(2019.10.19)

神坂一 スレイヤーズ(17)遥かなる帰路 富士見ファンタジア文庫 ¥693

遂に刊行の始まった〈スレイヤーズ〉第三部の開幕巻です。
前巻同様にリバーシブルな表紙が嬉しい。
以前の装丁の方が馴染みが深いですね。
とりあえず巻末の座談会だけでは読んでみました。
魔族の結界の外が舞台なのかな。
L様はまた本篇には登場しないのではないのかしら。
どういった方向に進むのか分かりませんが楽しみます。
年に1〜2冊くらいは刊行を期待したいものですね。

〈2019年書籍購入覚書〉 計107冊
posted by 森山樹 at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録

2019年10月17日

購入記録(2019.10.17)

椹野道流 無明の闇 鬼籍通覧 講談社文庫 ¥836
太田紫織 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 角川文庫 ¥607
太田紫織 櫻子さんの足下には死体が埋まっている  骨と石榴と夏休み 角川文庫 ¥607

『無明の闇 鬼籍通覧』は新装版刊行にあたっての再読の為に購入。
といっても,まだ前作を読んでいないのですよね。
なるべくならば再刊と歩調を合わせて読んでいきたいものです。
〈櫻子さんの足下には死体が埋まっている〉の2冊も再読用。
このシリーズも途中まで読んで止まっています。
最終章に突入したらしいので何とか追いついていきたいと思います。

〈2019年書籍購入覚書〉 計106冊
posted by 森山樹 at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 購入記録