2019年11月18日

高田崇史『QED 憂曇華の時』

〈2019年読書感想68冊目〉
高田崇史『QED 憂曇華の時』


約8年ぶりに刊行される〈QED〉シリーズの最新作です。
此処のところ刊行されていた3作は一応外伝という扱いとなります。
本篇が再開されるということなのかは微妙なところ。
いずれにしても,一度は完結したシリーズの新作が読めるのは喜ばしいです。
内容としては外伝を含めた〈QED〉シリーズの基本形といった感じ。
謎めいた殺人事件とそれに纏わる歴史や文化の闇が解き明かされます。
尤も,殺人事件については特に面白みがないのもいつも通り。
舞台装置としてはそれなりの役割を果たしていますが,なくても別に問題はなし。
ダイイング・メッセージの無意味さを繰り返しタタルが指摘するのは好きですが。
また,本篇ということでなのか,タタルと奈々に加えて小松崎が登場します。
やはりこの三人が揃ってこその〈QED〉という印象がありますね。
今回解き明かされる歴史の謎は“安曇一族”を中心としたもの。
かつて一大勢力を誇った海の部族の物語が語られます。
穂高神社や宇佐神宮,住吉大社等が関わる壮大な歴史の闇が興味深い。
その規模は本シリーズの中でも最大と言ってもいいのではないでしょうか。
『卑弥呼の葬祭−天照暗殺−』とも密接に絡んでいるのが楽しいです。
あの時にタタルが何を調べていたのかが明らかになるのは良い趣向ですね。
とは言え,情報量があまりにも多過ぎて全てを咀嚼出来ていないのも事実。
少し時間を置いてから改めて再読したいと思います。
というか,〈QED〉シリーズ自体を改めて読み返してみたいですね。
この作品が新たな〈QED〉の幕開けとなることを期待したいと思います。
本篇で語られるように次回作の舞台は宇治ということになるのでしょうか。
意外に平安時代が題材のものは少なかったので楽しみにします。

(講談社ノベルス 2019年)

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posted by 森山樹 at 06:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想