2020年02月05日

米澤穂信『巴里マカロンの謎』

〈2020年読書感想5冊目〉
米澤穂信『巴里マカロンの謎』


小鳩くんと小佐内さんを主人公とする〈小市民〉シリーズの第4作目です。
前作からは実に11年ぶりの刊行と言うことになります。
これまでの題名の法則からは外れる為,番外篇という立ち位置かもしれません。
4篇が収録された短篇集という体裁を採っております。
語り手である小鳩くんの独特の語り口はやはり苦手。
相変わらず,主役ふたりにあまり好感を得ることが出来ません。
但し,それは魅力的でないというわけではないのですけれども。
小市民でありたいと行動するふたりの行動規範に相容れないものを感じます。
そこにふたりなりの思惑があることは十分に承知しているのですけれども。
何処か他者を小馬鹿にしているように思ってしまいます。
逆に一旦火がついて容赦のなくなった小佐内さんのほうが好きです。
4篇はいずれもが“日常の謎”に分類されるべき小さな謎ばかり。
今作に限ってはいずれも事件の真相が見通し易かったように思います。
特に「伯林あげぱんの謎」あたりはほぼ序盤に鍵が出揃ってしまいますしね。
小鳩くん単独による謎の検討過程はそれなりに面白かったです。
新聞部が登場するのも楽しい。
一番最後の「花府シュークリームの謎」はお気に入り。
小佐内さんの容赦のない徹底的な苛烈さを堪能出来ます。
物語としては,それでいて,或る程度幸せな結末と言うのも悪くない。
今作で登場の古城さんは小佐内さんに憧れる後輩という立ち位置です。
いずれは本篇に登場することもあるのでしょうか。
本篇としては残すは1作のみの筈。
小市民を目指すふたりが如何なる帰結を迎えるのか気になります。
このような形での番外篇も楽しいものではありますけれどね。

(創元推理文庫 2020年)
タグ:米澤穂信
posted by 森山樹 at 06:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想