2020年02月15日

ジャナ・デリオン『ミスコン女王が殺された』

〈2020年読書感想7冊目〉
ジャナ・デリオン『ミスコン女王が殺された』


CIA工作員レディングことフォーチュンを主人公とするシリーズの第2作目。
『ワニの町へ来たスパイ』の続篇となります。
と言うか,前作での事件が解決した翌日から物語が始まります。
非常な忙しなさがなんとなくこのシリーズらしく思えます。
前作でも言及されていた元ミスコン女王パンジーの殺害事件が本作の中心。
アイダ・ベルやガーティら元気な老婦人の活躍が楽しいです。
今回は加えて前作の重要人物だったマリーも事実上の仲間入り。
ふたりとは異なる能力や知識を披露してくれます。
勿論,カーターやウォルターらの男性陣もいい味を出しています。
特にウォルターの老獪なと言っても良い立ち振る舞いが魅力的でありました。
カーターとの微妙な関係も徐々に距離が縮まりつつあり重畳です。
残念なのはミステリィ要素が希薄と言っても差し支えないということ。
結局は前作同様に犯人自らの襲撃を撃退して事件解決となってしまいます。
捜査による情報収集を経て推理という流れ自体は面白いのですけれどね。
その推理が事件の真相に辿り着いていないというのは爽快感に欠けます。
尤も,老婦人たちに振り回されるフォーチュンの姿は楽しくて良いです。
アリーと育まれる打算なしの友情も微笑ましい。
新たに登場するコンピュータの天才ソーサラーの意外な正体も面白かった。
いまいち活躍は見られなかったのですが,次回作以降も登場するのでしょうか。
アイダ・ベルの宿敵と言っても良いシーリアとも妙な縁が出来てしまいました。
このあたりは今後活かされることになるのでしょう。
いろいろと不満がないわけではないのですが,それを上回る楽しさも事実。
次回作へ繋がるであろう引きも興味深いものがありました。
アイダ・ベルが更にシンフルの町を掻き回すであろう次回作を楽しみにします。

(創元推理文庫 2018年)
posted by 森山樹 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想