2015年11月17日

櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜』

〈2015年読書感想41冊目〉
櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜』


 青春ホラーミステリィ小説〈ホーンテッド・キャンパス〉の第6作目。いつも通りに短篇集となっています。此処のところ,登場人物が増えていますが,この巻でも主人公である八神森司の旧友である津坂浩太が全篇に渡って場を賑わせてくれます。寧ろ,鬱陶しい程に。前作で登場した板垣果那は割と好みだったので落差が激しいです。森司の恋敵とも言える小山内陣もそれ程好感を持てないところを見ると単純に男性陣が興味の対象外というだけかもしれません。そもそも,主人公の森司自体が割と苛立ちを覚えますしね。同じオカルト研究会の三田村藍が一番男前に思えるのは気のせいか。登場人物中で最も魅力的な美女でもあるのですけれども。黒沼麟太郎と黒沼泉水も嫌いではないけれど,藍の魅力には到底及びません。そのふたりと藍との出逢い,そしてオカルト研究会創立に至った経緯が明かされるお話が収録されているのは嬉しいです。相変わらず,ホラー要素は薄いけれどね。大して怖さを感じないというのはホラー小説としては問題があるような気がしますが,それはそれとして一応楽しくは読んでいるので悪くはないのかもしれません。

 収録されているのは4篇。お気に入りは前述のオカルト研究会創立が明かされる「白のマージナル」かなあ。藍が主人公というのがやはり嬉しい。ホラー要素としては薄めですが,切なさに溢れているのが素敵です。藍の旧友の気持ち悪さは異常。彼の性格というか思考こそがホラーかもしれません。「よくない家」は珍しくホラー要素が強い。但し,個人的にはあまり怖さを感じなかったのが残念。事件そのものがきちんとした解決に至らなかったということで爽快感にも欠けます。負の連鎖,というよりも負の相乗が如何なる結果となるのかは想像する他はないのでしょうか。「旅籠に降る雨」は所謂ファフロツキーズ現象を題材とした物語。事件の真相は割と見通し易く安直に感じました。それでも,一応は丸く収まった結末ということで悪くありません。釈然としない感じは残るけれども。「異形の礎」は浩太が巻き込まれた騒動を巡る物語。怖くはないけれど,不快感が強い。全般的に人間の醜さを扱った物語が多いのですよね。個人的には純粋なホラー小説にこそ面白さを見出すので,結局は人間の感情が一番怖いという趣向の物語にはあまり惹かれません。その意味では本シリーズの良い読者であるとは言えないように思います。もうひとつの主軸である森司のこよみへの想いも割と辟易している部分があるので,何を求めて読んでいるのか,我ながら不思議です。逆に言えば,それでも読み続ける魅力があるとも言えるのでしょう。

 いつも通りの〈ホーンテッド・キャンパス〉で可もなく不可もない感じ。敢えて言うなら,果那を始め,五十嵐結花や片貝璃子あたりの出番が殆どなかったのが残念であります。その分,藍が活躍したと言えなくもないのですけれども。また,森司のこよみに対する想いが全く余計な要素に思えてしまうのもいつも通りと言えばそれまでですが,何とかして欲しいもの。傍から見ている分には十分に相思相愛なので,苛々するじれったい関係のままでいるのは逆に興を殺ぐ感じがします。草食系というのとはちょっと違う気がするのですよね。単純に意気地なしというだけにしか思えません。とりあえず既刊の残り2冊を早めに読むつもり。多少は不満が解消されていると嬉しいのですけれども。
タグ:櫛木理宇
posted by 森山樹 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想
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