2019年03月21日

ジェームズ・ロリンズ『ナチの亡霊(下)』

〈2019年読書感想8冊目〉
ジェームズ・ロリンズ『ナチの亡霊(下)』〈シグマフォース〉


下巻も一気に読み進めてしまいました。
とりあえずは満足なんだけど,前作以上にご都合主義的な面は否めず。
歴史も科学も全て追い払われて最終的に神秘主義に落ち着いてしまっています。
そういうものと思えばいいのかもしれないけど釈然とはしません。
ダーウィンの聖書に記されたルーン文字の解読は素直に好き。
量子論を用いたナチスの陰謀は正直なところあまり理解出来ませんでした。
知的デザイン説の真実も納得がいかないなあ。
最終的に安っぽい奇跡でみんなが救われるというのは好みではないです。
今巻の主役のひとりであるリサ・カミングスは今後も登場しそうな感じ。
シグマフォースに加わることはないでしょうが,外部の協力者としては重宝しそう。
フィオナもその驚異的なスリ能力はいろいろと使い勝手が良さそうです。
アンナとグンターは登場時からの印象がまるで変りました。
ナチスの系譜を受け継ぎながら,ナチではないと言い切るアンナが格好良かった。
残念なのは今回の敵役にあまり魅力を感じなかったところ。
生命倫理を弄ぶに至った経緯は十分に理解出来るものではありましたが。
“釣鐘”の解釈はそのまんま過ぎて,ちょっと拍子抜け。
もっと比喩的なものを期待していました。
全体的に提示された謎は魅力的だったのに,まとめ方が凡庸だった印象があります。
次回作以降に期待をしたいものです。

(竹書房文庫 2012年)


posted by 森山樹 at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想
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