2019年04月20日

加藤実秋『メゾン・ド・ポリス2 退職刑事とエリート警視』

〈2019年読書感想13冊目〉
加藤実秋『メゾン・ド・ポリス2 退職刑事とエリート警視』


現役女性警察官ひよりと退職刑事達の活躍を描く〈メゾン・ド・ポリス〉の第2作目。
前作から引き続く失踪したひよりの父親に纏わる謎が中心となります。
警察内部の黒い闇がなんとも不気味で質が悪い。
今回も連作短篇集の体裁をとっており,4篇が収録されています。
事件そのものは如何にも現代的なものばかりといった印象。
作者が得意とする1980年代臭はやはり微塵も感じられません。
どの事件も二転三転するものの結末は概ね予想通り。
目新しさは感じませんが王道であるが故の綺麗なまとまりは読後感を充実させてくれます。
第4話は失踪したひよりの父親を巡る事件が描かれます。
これまでに張られた伏線が丁寧に回収されており,或る意味での集大成と言えます。
副題にあるエリート警視こと間宮は意外な程に影が薄い存在でした。
警察の闇を象徴する人物ではあるのですが出番が少ないのが難点。
また,やってることが基本的に警告を与えるだけに止まっているのがね。
尤も,次回作以降でもひより達の前に姿を現すのかもしれませんが。
退職警官達の活躍ぶりは相変わらず。
藤堂の分かれた二番目の妻で鑑識官の杉岡さんは常連化しそうな気がします。
一方でバー〈ICE MOON〉は毎度のことながら立ち位置が微妙。
ナナの毎回異なる方言ネタは如何にも加藤実秋らしいところです。
第1作目に引き続き素直に楽しめるミステリィでありました。
退職刑事達の群像劇としても十分に面白いです。
問題は第1作目からの伏線が概ね解消されてしまったこと。
次回作では如何なる展開に持ち込むのか期待したいと思います。

(角川文庫 2018年)

タグ:加藤実秋
posted by 森山樹 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想
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