2019年05月26日

ジェームズ・ロリンズ『ロマの血脈(下)』

〈2019年読書感想23冊目〉
ジェームズ・ロリンズ『ロマの血脈(下)』〈シグマフォース〉


謎に包まれたロマの出自とチェルノブイリを舞台にした陰謀に迫る〈シグマフォース〉の第4作目。
これまでの作品の中で一番内容が薄かったような気がします。
サヴァン症候群については最早手垢が付いた要素でありますしね。
ロマとデルポイの巫女との関係についても特段に劇的な解釈はなし。
面白くないわけではないのですが,期待していた頓痴気さがありませんでした。
チェルノブイリを利用した世界的な陰謀も普通と言えば普通な感じ。
敵役のニコライ・ソロコフやジョン・マップルソープも魅力を感じなかった。
結局のところ,その背景が明かされなかったマップルソープは気になりますが。
とは言え,シグマフォースとしては大きく揺れ動いた物語だったのも事実。
ショーン・マクナイトが退場したことで政治的な打撃はかなり大きい筈。
彼の後任として如何なる人物が就任するのかが問題となるでしょう。
そして,モンク・コッカリスが帰還を果たしたのも嬉しいところ。
但し,その記憶の一部を失っており,完全復帰が可能と言えるのかどうか。
今作はモンク・コッカリスを取り戻すがための物語であったということでしょう。
まさかコワルスキが美人の恋人を手に入れるとは思いもしなかったけれども。
新たに登場のエリザベス・ポークやシャイ・ロサウロは常連化するのかな。
サーシャが予言するセイチャンとグレイ・ピアースの不穏な運命も気になります。
このあたりは次作以降の伏線としては大いに楽しみ。
やはりギルドと敵対してこその〈シグマフォース〉と思いますね。
毎回敵に潜入されるシグマフォースの危機管理はかなり問題あり。
尚且つ,今作ではそれで長官を失ってしまったわけですから。
事件は解決したとはいえ,普通に考えれば解体されてもおかしくないけどなあ。
組織の立て直しは次作以降で焦点が当てられるのでしょうか。
楽しめたのは確かですが,それでもなお不満はかなり大きかった。
歴史と科学の融合に空虚な響きを感じてしまいます。
少し飽きが来ているので次作を読むのは少し先になるかもしれません。

(竹書房文庫 2013年)

posted by 森山樹 at 06:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想
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