2020年01月10日

櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜』

〈2019年読書感想76冊目〉
櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜』


新たな登場人物を交えて展開する〈ホーンテッド・キャンパス〉の第6作目です。
今巻も4篇からなる短篇集の体裁を採っています。
特徴的なのは森司の旧友の津坂浩太が全篇に渡って登場すること。
大きな役割を果たすわけではないのですが,物語をひっかきまわしてくれます。
その在り様が個人的にはやや鬱陶しく思えるのも事実。
悪い奴ではないのですが,何と言うか面倒くさいのですよね。
とは言え,森司にとっては唯一対等とも言える立ち位置の存在ではあります。
だからこそ,あまりいい感情を抱かされなかったことは残念でした。
収録された4篇では恐怖小説色が一番強い「よくない家」がお気に入りです。
最終的に事態が解決されなかったというのも余韻を残します。
特別な存在ではない森司や泉水には手に負えない事態もあるということでしょう。
同じく「異形の礎」も恐怖小説色が強くて良いですね。
実在する心霊事件を題材としているのが個人的には好みでした。
「旅籠に降る雨」はファフロツキーズ現象を扱った作品です。
意外な真相が悪くない。
恐怖小説的ではありませんが,怪奇現象を前面に押し出しているのが良かった。
「白のマージナル」は藍の過去の出来事が語られます。
オカルト研究会設立に至る物語でもあります。
最終的にはちょっと泣かせるお話になるのが如何にもこのシリーズらしいところ。
今巻は過去作よりも多彩な作風が多くて楽しめました。
森司のこよみへの想いを前面に押し出すのはあまり好きじゃないのですけれどね。
クリスマス物語としては良い終わり方だったのではないでしょうか。

(角川ホラー文庫 2019年)

タグ:櫛木理宇
posted by 森山樹 at 06:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想
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